不動産登記法大改正
(Nov.2004)
全文改正された不動産登記法が今年6月18日に公布され、来年(平成17年)3月頃に施行される予定です。
この「新不動産登記法」は、オンライン登記申請の導入を前提にしたものであるということが特徴です。
つまり、コンピューターを使ってインターネット経由で登記申請が出来るようにするというものです。
= 実務面から見た新法の主なポイント =
○ オンライン申請が出来るのは、法務大臣が指定する「オンライン指定庁」です。改正法施行後に順次指定されて、数年内にはすべての法務局が指定される予定です。
○ オンライン指定庁でも、従来どおりの書面による申請が出来ます。その場合には、新法では出頭主義は廃止されましたので、郵送での申請も出来ます。
○ オンライン指定庁では権利証は発行されません。(“権利証がなくなる”、代わりに登記識別情報が発行されます。)
ただし、オンライン指定庁にする最初の申請までは権利
証は必要ですので、現在ある権利証は大切に保管する必要があります。
○ 新法で廃止されるもの(オンラインか否かにかかわらず) ― 出頭主義、申請書副本制度、保証書制度、予告登記、共同担保目録の添付など。
○ 新法で新設されるもの(オンラインか否かにかかわらず) ― 事前通知制度、登記官による本人確認制度、不動産特定番号など。
= 新しい認証方法 =
「実印」と「印鑑証明書」は不動産登記の真実性を担保するための個人(または法人)の認証方法として重要な役割を持っていますが、オンライン申請では代わりに「電子署名」と「電子証明書」という全く新しい認証システムか利用されることになります。
商法改正
(July.12,03)
6月30日付日本経済新聞の1面トップ 「1円起業、無条件に 最低資本金規制完全撤廃へ 2005年商法改正」
政府として、平成17年に予定している商法大改正に、最低資本金規制の撤廃を盛り込む方針を決定したとのニュースです。
本年2月から施行された「最低資本金規制特例」が、平成17年改正商法施行時には「特例」ではなくなり、特例で設立された確認会社は増資しなくても解散又は組織変更をすることなくそのまま存続できることになりそうです。
平成17年商法改正は、商法の口語化(カタカナ書の条文からひらがな書の条文へ)も含めて、会社法分野の全面改正が予定されているようです。
平成11年から平成14年度(改正法成立年度)にかけても、商法は激しく改正されました。
その主な項目をまとめると、次のようになります。
|
改正法成立年度 |
新設されたもの |
廃止されたもの |
変更されたもの |
| 平成11年度 | ・株式交換・移転制度 | ||
| 平成12年度 | ・会社分割制度 | ||
| 平成13年度 | ・新株予約権制度 ・単元株制度 |
・額面株式 ・株式の大きさの規制 ・単位株制度 ・閉鎖会社の授権枠規制 |
・“金庫株”解禁
− 自己株式取得の原則自由化 ・種類株式制度の弾力化 ・会社関係書類の電子化 ・監査役制度(機能強化、任期伸長、社外監査役員数) ・取締役の会社に対する責任軽減 |
| 平成14年度 | ・委員会等設置会社制度 ・重要財産等委員会制度 |
・外国会社の営業所設置義務 |
・株主総会手続きの簡素化 ・株主総会特別決議定足数の緩和 ・現物出資等の財産価格の証明制度拡充 |
最低資本金規制特例
(Feb 21,03)
新事業創出促進法の一部が改正(平成15年2月1日施行)されて、最低資本金規制(商法)の特例が認められるようになりました。
この特例によって設立される資本金1000万円未満の株式会社、300万円未満の有限会社を、
それぞれ確認株式会社、確認有限会社といいます。
「確認」の意味
特例が認められるのは、「創業者」が設立する会社で、「創業者」であることが経済産業局によって確認された場合です。
「創業者」とは
新事業創出促進法第2条第2項第3号に該当する「創業者」です。
給与所得者、専業主婦、失業者、学生や会社の代表権の無い役員などの、事業を営んでいない個人が該当します。
特例が認められる期間
会社成立から5年間で、この間に最低資本金に達する増資が出来なければ、合名会社・合資会社に組織変更(これらの組織変更が認められるのも商法の特例となっています。)するか、解散することになります。
不動産登録免許税−平成15年度税制改革
(Jan 5,03)
平成15年度税制改革で、不動産の価格(固定資産評価額)を課税価格とする権利に関する登記の登録免許税の税率が以下のように変更になります。
*信託、相続財産分離、仮登記の税率変更については割愛
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登記の原因・種類 |
現行 〜H15.3.31 |
改正 |
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H15.4.1〜H18.3.31 |
H18.4.1〜 | |||
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所有権の保存登記 |
6/1000 | 2/1000 | 4/1000 | |
| 所有権の移転登記 | 相続、合併 | 6/1000 | 2/1000 | 4/1000 |
| 遺贈、贈与 | 25/1000 | 10/1000 | 20/1000 | |
| 売買など | 50/1000 | 10/1000 | 20/1000 | |
| 共有物分割 | 6/1000 | 2/1000 | 4/1000 | |
| 地上権、賃借権等の登記 | 設定、転貸 | 25/1000 | 5/1000 | 10/1000 |
| 売買その他による移転 | 25/1000 | 5/1000 | 10/1000 | |
| 相続、合併による移転 | 3/1000 | 1/1000 | 2/1000 | |
| 共有権利分割による移転 | 3/1000 | 1/1000 | 2/1000 | |
<建物について>
個人が一定条件を満たす住宅用の家屋を取得した場合は、租税特別措置法(72条、73条)が延長適応(〜H17.3.31)されるので、税率は改正後も所有権保存が1.5/1000、所有権移転が3/1000のままです。
その他の場合は、改正によって税率が大幅に軽減されることになります。
<土地について>
現行の「固定資産評価額の1/3を課税標準とする」特別措置が、改正とともに廃止されます。
この特別措置で売買の場合の現行実効税率は約1.67%(50/1000X1/3)ですが、改正後(H15.4.1〜H18.3.31)は1%となります。遺贈、贈与の場合は現行実効税率は約0.83%ですが、改正後は1%となって、逆に税率がアップすることになります。相続、合併の場合の実効税率は変更なしです。
社外取締役
(July
7,02)
7月6日の日本経済新聞朝刊の1面「イオンとオリックス 監査役を廃止・米型統治、経営監督 社外取締役が中心」
これは、第154通常国会で成立した改正商法の中で、商法上の大会社(資本金5億円以上、または負債総額200億円以上)に認められる委員会等設置会社への移行を両社が表明したことに関する記事です。
委員会等設置会社のポイントは、○監査役の廃止 ○各委員会のメンバーは過半数の社外取締役が占める というものです。
社外取締役は、以前にその会社または子会社の取締役または従業員でなかった者でなければなりません。(平成13年12月の改正商法で定義された。)
商法上では、取締役は株主総会で選任されて会社と委任に準ずる契約関係を結んで就任し、代表取締役の業務執行をチェックすることが責務とされています。注意すべきことは、取締役の地位と従業員(使用人)の地位とは全く別のもので、取締役が従業員であることは商法上はまったく予定されていないということです。(改正前にも)
しかし、実際にはほとんどの会社の取締役は従業員の地位を兼ねており、むしろ一部の会社で就任していた社外取締役が例外的に注目されていた、というのが現実です。
代表取締役が社長で従業員取締役はその部下、という関係において実際問題として部下である取締役が上司である代表取締役の業務執行を十分に監督することが期待できるでしょうか?
この委員会等設置会社・社外取締役制度が、アメリカ型コーポレートガヴァナンスをモデルにした制度であり、そのアメリカで最近問題になっているエンロン、ワールドコムの不正会計事件に対してこのモデルが有効に機能しなかったことから、制度の実効性に疑問を持つ経営者が多いことや、また多くの経営者が社外取締役制度が経営判断の合理性の向上に資するとは考えていない、というような趣旨のことも日経新聞の記事には書かれていました。
しかし、制度はあくまでも制度であり、その制度を機能させるのは企業経営者の見識であり決意です。この点において、新聞記事で紹介された2社は、自社の企業統治(コーポレートガヴァナンス)の在り方と合理化への決意を示したものとして高く評価できるのではないでしょうか。
多重債務問題
(June 15, 02)
平成13年の自己破産申立件数が16万件を突破しました。
これは前年比で約15%増、10年前の約7倍です。平成14年も2桁増は必至の情勢です。
自己破産件数急増の原因の根幹はデフレを伴った深刻な不景気にあることは間違いないのですが、消費者金融で多重債務に陥った個人の急増という問題(いわゆる“クレサラ問題”)の増大が直接に影響していると思います。
消費者金融業者のほとんどは出資法の上限金利である年率29.2%という、とてつもない高利での融資を行っているにもかかわらず、さらにこの出資法上の上限金利規制さえ撤廃すべしとの主張を持っているようです。
その論理は概ね、
〇金利は信用リスクに伴うコストであるから、高い信用リスクの借り手に対する金利は高くて当然。
〇上限金利規制は、信用リスクの高い一般個人層が融資をうける機会を奪うことになり、結局は消費者のためにならない。
というもので、経済学的には一見納得性のあるようにも映るのですが、融資を受ける一般個人を常に経済合理性にもとづいて行動する「経済人」にしたててしまっている点と、現実には与信管理というリスクマネージメントを前提にすることなく信用リスクの大部分を金利という借り手負担のコストに転嫁して過剰融資に走っているという点において、実態を反映しない古典的で稚拙な論理と言わざるを得ません。
現実には自己破産申立件数の10倍以上の人々が多重債務に陥っているのではないかと言われており、多重債務の問題はいわば構造的な社会問題です。
30%近い高金利での借金の返済のために、同じかあるいはそれ以上の高金利でお金を借りる・・・・・・、債務は短期間に雪だるま式に膨れ上がります。“返済のための借金の繰り返し”の状態になれば、恐らく自力でその事態から脱却することは不可能でしょう。
債務を返済しようという意思と努力を実効あるものにして、何よりも大切な日々の生活を再建するためにも、債務を一旦整理して再出発することが大切です。
不幸にも多重債務を負った場合には、早めに司法書士や弁護士に相談して法的な債務整理手続き(*)を検討してください。
*特定調停、民事再生手続き、破産・免責申立、任意整理など